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インフラツーリズムに人気の「首都圏外郭放水路」に行ってきた!

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今回ご紹介するのは埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」です。インフラツーリズムの注目度の高まりを受けて、訪れる人が増えているスポットです。

インフラツーリズムとは生活や経済活動を支える公的施設・土木景観などを観光資源と位置付け、実際に現地へ赴く観光旅行のことです。主にダム、河川、橋などを訪れるので、これらを管理する国土交通省も積極的に推進しています。

神殿を思わせる壮麗な空間が特徴の首都圏外郭放水路はインフラツーリズムを代表する観光地として人気があります。

首都圏外郭放水路とは?

では首都圏外郭放水路はいったいどんな施設で、どんな役割があるのでしょうか。

簡単に言うと台風や大雨で水量が増大した川の水を貯めて、江戸川に放水するための施設です。

首都圏外郭放水路がある埼玉県の中川・綾瀬川周辺は、周囲を利根川や荒川などの大河川に囲まれたお皿のような低い地域です。しかも、河川の勾配が非常に緩いため水が流れにくく、昔から洪水被害に悩まされ続けてきました。

この問題を解決すべく当時の最先端の土木技術を結集し、平成5年3月から平成18年6月までの13年という歳月をかけて放水路が建造されました。それが首都圏外郭放水路です。

首都圏外郭放水路には川からの水を貯める「立坑」と呼ばれる円柱状の空洞や、水の勢いを調整する「調圧水槽」、調圧水槽の水を江戸川に放水するための「ポンプ設備」などの設備があります。

立坑は5つあり、第2立坑には18号水路(埼玉県春日部市を流れる準用河川)、第3立坑には中川と倉松川、第4立坑には幸松川、第5立坑には大落古利根川の水がそれぞれ流れ込みます。大雨により各河川の水位が高くなると自然に各立坑への流入が開始される仕組みになっています。

立坑間はトンネルで連結されており、各立坑に溜まった水はトンネルを通って第1立坑に流れ込みます。その後調圧室で勢いを調整したのちにポンプを使用して江戸川に放水されます。

地下50mの深さにあるトンネルは内径10m、全長は6.3kmにも及び、まさに地下に流れる川です。最大で毎秒200m3もの洪水を流すことが可能です。

この世界最大級の地下放水路にはTV、新聞、映画、旅行情報誌、学校教材、webサイトなど、年間200件以上のメディア等が取材に訪れます。

海外からの注目度も高く、海外メディアの取材や施設見学者も多いそうです。CNNがニューヨークのハリケーン・サンディの報道の際に、首都圏の洪水対策としてこの首都圏外郭放水路を紹介していました。

見学コースは3種類

見学ツアーは下記の3種類が用意されています。詳しくはページ下にリンクが張られている公式サイトを参照してください。予約状況の確認や参加申し込みも公式サイトから行います。

コース名と見学内容所要時間参加費用
<地下神殿コース>
「調圧水槽」と「第1立坑」を見学するコース。
気軽に参加できる。定員50名なので団体参加も可能。
約60分1,000円
<立坑体験コース>
ハーネス(安全帯)とヘルメットを着用して、作業員用通路を歩き、立坑内の階段を途中まで下りていくコース。
約1時間50分3,000円
<ポンプ堪能コース>
首都圏外郭放水路の心臓部ともいえるポンプを見学するコース。ポンプの役割や機能を知ることができる。
約1時間40分2,500円

「調圧水槽」はその圧倒的なスケールとそびえ立つ柱の様子から防災地下神殿として広く認知されており、首都圏外郭放水路の象徴的な存在です。上記3つのどのコースに参加しても調圧水槽は見学します。

今回はこのなかから地下神殿コースに参加してみました。見学時間も短く、気軽に参加できるので初めての方にはおすすめです。定員が多く予約が取りやすい点も良い点です。

ただ、この地下神殿コースは内部をじっくりと見学するのは調圧水槽のみなので、内容の充実さを求めるなら立坑体験コースがいいでしょう。機械に興味があるなら4機のガスタービンを間近で見ることができるポンプ堪能コースもアリだと思います。

新型コロナウイルスの影響で、2020年の見学会はしばらく中止になっていましたが、2020年7月の半ばころから再開されています。ただし、今後のコロナウイルスの流行状況によっては再度見学中止になる可能性もあります。

ちなみに、見学の申し込みをした後にキャンセルしたい場合、3日前までならキャンセル料はかかりませんが、2日前から100%のキャンセル料が発生するので注意が必要です。

アクセスについて

首都圏外郭放水路は埼玉県の中川、綾瀬川周辺の水害対策用に作られた設備なので、郊外にあります。たとえ首都圏で需要があったとしても、縦横無尽に地下鉄網が張り巡らされている都心にこのような巨大地下施設を建造するのは結構厳しいんじゃないかと思います。

なので、東京や神奈川に住んでいる人から見ればアクセスが良いスポットとは言えないかもしれません。

電車で行く場合、最寄り駅は東武野田線(東武アーバンパークライン)南桜井駅です。新宿駅から約1時間20分、横浜駅から約2時間弱です。見学受付場所は首都圏外郭放水路の敷地内にある「龍Q館」という建物で、南桜井駅から徒歩で40分(約3km)程度の距離です。

南桜井駅北口から龍Q館までは、イオンモール春日部バスや春日部市コミュニティバスが運行しています。このことは事前に調べておいたので、駅からバスで龍Q館まで行こうと考えていました。

しかし、実際に行ってみると見学した日のイオンモール春日部バスは新型コロナウイルスの影響により運休。春日部市コミュニティバスはそもそも運行頻度が週3回、一日あたり3回程度と限られているので、この日は利用できませんでした。

駅前の広場は閑散としています。一縷の望みをかけてタクシー乗り場の方まで行きましたが、タクシーの姿はありません。しばらくその場で待ってみましたが来る気配がないし、そもそもタクシーどころか車の往来すらありません。

選択肢としてはこのままこの場でタクシーを待ち続けるか、タクシーを呼ぶか、徒歩で行くかのどれかですが、この時点で集合時間まであと50分しかありませんでした。

龍Q館まで歩くと40分かかります。初めて行く場所なので道を間違える可能性もあるし、この日は小雨が降っていたので、できることなら走りたくない。徒歩で行くなら時間的に余裕を持たせて出発したい。

このまま待ち続けても、今からタクシーを呼んでも10分以内に来てくれる保証はありません。なので覚悟を決めて歩くことにしました。

というわけで、見学に行くときは車で行くのをおススメします。施設内に無料の駐車場もあります。もし電車で行く場合は、バスやタクシーが確実に利用できるとは限らないと思っておきましょう。

ちなみに帰る時も龍Q館から南桜井駅までのバスは運休していたので歩きました。

地下に広がる巨大神殿

到着したらまず龍Q館の1階で受付を済ませて、時間になったら集合場所に集まります。受付時に受付を済ませたことを証明するシールがもらえます。見学中はずっとこのシールを胸など目立つ場所に張り付けておかなければなりません。

お土産のステッカーも貰えます。

龍Q館の隣には芝生が張られた広大な多目的広場があります。この広場の地下に調圧水槽が広がっています。広場は一般の人も使用することができますが、使用には許可が必要です。

右奥に見える建物が龍Q館と排水機場です。これらの建物の地下にはポンプ設備があります。

芝生の多目的広場の一角に地下への入り口があります。ここが集合場所です。一見すると何かの保管倉庫のようですが、ここが地下に広がる巨大神殿への入り口というわけです。時間になったら「地下神殿コンシェルジュ」と呼ばれるガイドの方の注意事項等を聞き、順番に中に入っていきます。

調圧水槽

調圧水槽は地下22mの深さにあります。入口から116段の階段を降りていくのですが、階段を降りている最中は危険なため写真撮影は禁止です。下の写真は階段の下から取ったものです。

階段を降りると、神秘的で荘厳な雰囲気が漂う地下神殿が広がります。空気はひんやりとして冷たいです。施設についての説明を一通り聞いた後に見学スタートとなります。見学エリア内であれば自由に歩き回って、写真を撮ることができます。

調圧水槽は長さ177m、幅78m、高さ18mの巨大な水槽です。第1立坑と繋がっていて、ポンプの運転を安定して行ったり、緊急停止時に発生する急激な水圧変化を調整する役割があります。使用時にはこの巨大空間が水で満たされるわけです。

また、調圧水槽には1本あたり幅2m、長さ7m、高さ18m、重さ500トンの巨大なコンクリートの柱が59本林立しています。この様子がパルテノン神殿を想起させることから「防災地下神殿」として周知されています。

この柱は巨大な空間を持つ調圧水槽が周囲の地下水からの浮力で浮き上がらないように設置されています。耐震性を高めたり、第1立坑から流れ込んできた水の勢いを削ぐといった効果もあるのかもしれません。

床に所々水たまりがあります。ガイドの方の話によると、1週間前のゲリラ豪雨の時に調圧水槽を使用したので、その時の水とのことです。

床は定期的にブルドーザーを使用して掃除を行い、その際に出た土砂は堤防の材料として使用されるそうです。

ブルドーザーが立坑側に落ちてしまわないように、床に突起物が設置してあります。見学者はここから先は立ち入り禁止です。

ちなみに、事前に音声ガイダンス付きのアプリをスマホにダウンロードすることができます。これを使えば、水槽内の洪水を疑似体験することもできます。

水槽内は面積でいったらサッカーコートよりも広いのですが、見学エリアは限られています。時間には余裕があるので、巨大な地下空間を十分に堪能することができます。

第1立坑

第1立坑は調圧水槽と繋がっており、第2~第5立坑からトンネルを通って送られてきた水を調圧水槽に送り込む役割があります。

深さ70m、直径30mという巨大な竪穴で、自由の女神やスペースシャトルがすっぽり入ってしいます。「地下神殿コース」では調圧水槽側から見るのみで、立坑内に立ち入ることはできません.

立坑体験コースに参加すれば、ハーネスを付けて実際に立坑内の階段を下りていくことができます。立坑の深さやスケールの大きさをより強く実感できます。

アクション映画のワンシーンのようですが、パンフレットの説明によれば、あまりの深さに腰が引けてしまうそうです。第一立坑から振り返ると、柱が乱立する地下神殿の内部を見ることができます。

ちなみに立坑の壁面に見える緑色は苔です。ガイドの方の説明によると第1立坑には自然の太陽光が入るため、苔が生えてくるそうです。

地底探検ミュージアム「龍Q館」

見学受付をした龍Q館は博物館になっています。首都圏外郭放水路の機能や役割を中心に、江戸川に関する事業や自然環境についての展示・紹介がされています。入場料は無料で写真撮影も自由にできます。

見学受付後の待ち時間に見学することもできますが、見学が終了してからのほうがゆっくり見て回ることができるのでおすすめです。ただし、16:00最終入館、16:30閉館なので、16:00の回の見学会終了後に龍Q館を見学することはできません。

「龍Q館」という名称は所在地の春日部市(旧庄和町)に伝わる「火伏の龍」伝説と、「AQUA(水)」にちなんだものだそうです。

館内は2階まであり、1階には江戸川と共に暮らしてきた市民の歴史・文化・風土を紹介する「市民ギャラリー」があります。首都圏外郭放水路のメカニズムを紹介する大きなパネルもあります。

2階に上がる階段の踊り場には、調圧水槽で発掘された貝の化石の標本が展示されていました。

2階には洪水の恐ろしさや首都圏外郭放水路の活躍を光と音と映像で体験できる「地底体感ホール」、町や川について学ぶことができる「マイタウン・マイリバー」、首都圏外郭放水路の運用を支えている最先端技術が紹介されている「テクノロジーBOX」などの展示コーナーがあります。

龍Q館には地域との連携を図った総合学習・生涯学習施設としての役割もあるそうで、治水事業についての自治体の取り組みや防災システムを紹介するパネルも多数展示されています。

下の写真は展示されていた排水ポンプの模型です。このポンプを使用して調圧水槽に溜まった水を江戸川に放水します。首都圏外郭放水路にはこのポンプが4台設置してあります。

出力は国内最大級の14,000馬力を誇ります。航空機用に開発されたガスタービンの動力で羽根車を高速回転させ、水を吸い上げます。

4台フルに稼働させると、小学校にある25mプールを1秒で排水することができます。まさにこの施設の心臓部ともいえる設備です。「ポンプ堪能コース」に参加すれば実物を見ることができます。

2階には排水や設備を管理する「中央操作室」があり、ガラス越しに見学できます。こちらは模型ではなく、本物です。前方に並んでいるモニターには施設各所の映像が映し出されています。ここには全ての情報が集約され、水位や雨量の監視、ゲート操作、ポンプ設備の起動など、放水路全体のコントロールを行っています。

映画やドラマに出てくる基地の司令部みたいですが、実際にTBSドラマ「下町ロケット」や「ウルトラマンコスモス TEAM EYES」など、TVドラマの撮影に使用されたそうです。

<スポット情報>
名称: 首都圏外郭放水路
所在地: 〒344-0111 埼玉県春日部市上金崎720

アクセス
【電車】
東武野田線(東武アーバンパークライン)
南桜井駅北口より 徒歩約40分(約3キロメートル)
※南桜井駅北口から龍Q館まで、春日部市コミュニティバス「春バス」が運行

【車】
圏央道 幸手IC及び五霞ICから約30分(約15キロメートル)
東北自動車道 岩槻ICから国道16号を野田方面に約30分(約17キロメートル)
常磐自動車道 柏ICから国道16号を野田方面に約40分(約20キロメートル)

【タクシー】
南桜井駅北口より約7分(1300円程度)

龍Q館 開館時間:9:30~16:30
(※見学会の時間についてはスケジュール参照)

問い合わせ先:国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所 
電話 04(7125)7311

公式サイト(首都圏外郭放水路事務局)
https://www.gaikaku.jp/
予約サイト
https://reserva.be/guidetour

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